◎サポーターが選ぶ名場面100 その2 - 緊張に震えた大宮

2000 Jリーグ Division2 第43節 vs 大宮アルディージャ
大宮アルディージャ 0-1 浦和レッズ
得点 19分 大柴

どん底の試合を書いて終わりではあまりにも寂しいので、
わがままを言って2試合目を書かせていただきます。


2部でのシーズンも大詰め、大宮サッカー場での埼玉ダービー。

残り7試合となって総監督を据えてから5試合で4勝1敗。
よたよたとしながら、何とか昇格圏内をキープしてきた。
この試合に勝ちさえすれば、昇格圏内のまま有利な状況で
最終戦を迎えられる。

だが大宮はこの長い1年の間に「難敵」に化けていた。
前回対戦の駒場ではペトロヴィッチのラストゲームだというのに
良いところなく敗戦。
シーズン当初はどことやっても楽勝だったはずなのに、この時の状況では
とても険しい山のように思えた。

2順目に対戦し、6-0と大勝したときの大宮サッカー場とは
まるで雰囲気が違っていた。
シュートミスにトランペットから冷やかしのフレーズが流れたり、
デビューを果した河合になぜか大根をプレゼントしていた、
まったりとした空間だったゴール裏には、殺伐とした刺すような
空気が流れていた。


平日の夜の試合ではあったが、キャパの少ないスタジアムのチケットは
プラチナ化していた。
苦労して手に入れたチケットを手に、始発に乗って大宮公園へ駆けつけると
すでにゴール裏の入り口には多数のシートが並べられていた。
その最後尾にシートを敷いたところから、緊張は始まっていた。

陽が昇るのを見てから大宮駅前に戻り、ふらふらと街を歩き回って
時間を潰す間も、じわりじわりと緊張が高まっていくのを感じていた。
開門に合わせて大宮公園に戻り、ゴール裏に入るといよいよその緊張が
震えとなって身体に表れた。
キックオフが近づくにつれ、その震えはどんどん明確なものとなっていく。
ピッチでアップをする選手達の動きを口を真一文に結びながら凝視した。

キックオフの瞬間を迎え、それまで身体の中に溜め込んでいた声という声を
ピッチで戦う選手達に向けて吐き出すと、ようやくその震えは止まった。


この日久々に先発出場を果した1トップの大柴がすごい勢いで
相手のボールを追いかける。
向こう側のゴールを狙うレッズが何度か惜しいチャンスを作ったようだった。
だが平坦なスタジアムの構造ゆえに状況がよくわからない。

しかしながら、その後に訪れた前半19分のこの日唯一のゴールシーンは、
今でも脳裏に映し出すことができるから不思議だ。

メインスタンド側のハーフライン付近。
左サイドでボールを持った路木の左足から放たれたボールは
大宮の最終ラインとキーパーとの間でワンバウンドし、
そこへ駆け込んだ大柴がまっすぐに伸ばした右足のアウトフロントの部分に
ヒットさせてゴールに流し込んだ。

路木の放ったそのパスの放物線が、物理の教科書に載っている写真のように
点々とその軌跡を示しながら、中央の空いたスペースへと落ちていく。
私の記憶の中にはそんな画がいまだ留まっている。

この先制点の後、試合のペースは完全に大宮の手に渡ってしまう。
高い位置でボールを奪うことができず、自陣深くまで押し寄せられては
ぎりぎりで跳ね返す、そんなしんどい展開が延々と繰り返され、
タイムアップまで声の限りに鼓舞し、ブーイングを飛ばし続けたのであった。

この後の最終戦が、これまた苦しく、劇的な試合になろうとは、
この時点では知る由もない。
この日1日自分を覆い続けた緊張感から解放され、
安堵の気持ちで帰途についた。

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昨日のその1の最後にも書きましたが、やはりこの99年、2000年の2年間で、
スタジアムで選手と共に戦うということがどういうことなのかが身体に染み付いたんだと思います。
「プライド」という言葉を用いる背景にはこうした歴史があることを
我々は語り継いでいかなければならないと今回の企画を通じて強く感じました。

以上です。
次はあとは野となれ山となれのくり2号さんにリレーします。よろしくお願いします。

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コメント(1)

お忙しいところお疲れ様でした。
緊張感溢れる文章で、読みごたえがありました。
これからも楽しみにしております。

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