長谷部からのスルーパスをエメが易々と決めた直後、相手が放ったミドルシュート。都築の脇を抜いた低い弾道は幸運にもゴールポストを叩いて撥ね返った。安堵の声を漏らす俺たちの反対側で、気落ちしたかに思えた奴らに勢いが戻りかける。だが俺たちの神様は容赦なく、その勢いを止めてみせたのだった。
ゲーム開始10分程で2-0。マスコミに煽てられて天狗になってる奴らの鼻っ面に強烈な頭突き。
こうなれば思い出すのは去年の宮城スタジアム。6点を奪って立ち直れなくしてやった試合だ。思い上がったスタジアムを完全に沈黙させるにはあと1点で十分だろう。さっさとぶち込んで、やつらに苦汁を嘗めさせてやれ!
だがそんな俺たちの気持ちをよそに、山瀬がフリーのヘディングシュートを外せば、エメはすでに省エネモード突入でこっちにパスすんなと言わんばかりの淡白なプレー。さらに後半に相手がシステムを変えてくると開始から30分は防戦一方。ゴール前にへばりついてただただ大きく跳ね返すことに終始。相手のCKの度に目を覆いたくなる。
結局エメが後半唯一の真剣プレーで決着の3点目を取ってくれたが、その時の気持ちは「ざまあみろ」ではなくて「ああ助かった・・・」だった。
ゲーム終了後には奴らの前で「好きにならずにいられない」を高らかに歌い上げてやったわけだが、奴らの中には希望がまだくすぶったまま残っているだろう。今年のレギュレーションでは奴らが1部に残る可能性は高い。来年以降も新潟でゲームがあるわけだ。こういうときに非情なまでに叩き潰しておくことが、中期的にみると大事なんだが、どうも無失点にこだわるあまりに相手の攻撃を完全に受けてしまった。既に10年以上の歴史を積み重ね、ウチが大きく負け越している相手、散々な目に遭わされた相手もいるわけだ。そういう歴史の視点で見れば、この時点で相手にネガティブイメージを植えつけられなかったのは残念だった。
最後に新潟方面に言っていこう。サイドのスタンドからも声や手拍子がよく起こり、久々にアウェーを感じた。いい雰囲気で俺らもやりがいがあった。それはまあ誉めてもいいだろう。俺らが2部時代の地方巡業で10点もくれてやったおかげで、ここまで盛り上がったんだから、あの辛い思い出も悪くなかったと思えた。
だが、君らにとってまだ試合はイベントだろ?勝っても、負けても満員のスタジアムで家族揃って休日を楽しめればいいわけだ。しかしJリーグといえど1部ではそんな甘いスタイルでは、残念ながらいつか淘汰されるだろう。
俺たちにとって試合は生活だ。フットボールが人生だ。新潟のスタジアムにはまだまだそういう人間がほとんどいないんじゃないか?勝った俺らが堂々とあんたらの前を駐車場まで行進していっても、みんな笑顔だ。ホームであんなゲーム見せられて悔しくねーのか?俺たちをねじ伏せたければもっと真剣にかかって来い。
笑顔が絶えないスタジアムを作るのが目標だというなら、それもまあいいだろう。それならそれで俺たちとは違う次元で頑張るがいい。アジア王者が目標の俺たちはあくまで勝負に拘ってやっていく。




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