1998年9月アーカイブ

情けない・・・。これが今、日本で1番のっているチームなのか。このゲーム、前半のサッカーには優勝などと口にするのもおぞましい、プロらしからぬプレーの連発であった。

前節の敗戦で、ショックはあるだろうと思っていたが、これほどまでとは思わなかった。まるでプレーに自信が感じられない。雨が降っているとか、移動での足止めの後遺症とかそんなレベルじゃなかった。ボールがくれば、トラップミス連発。トラップできたとしても、一刻も早く手放したくて意図もなく簡単に蹴ってしまう。パスミスのオンパレード。当然のようにカットされて速攻をくらう。サイドに切り込まれると粘りもみられず、あっけなく中にあげさせてしまう。CB2人は中にボールがはいってくるともう大騒ぎ。結局早い段階で2点を献上して自滅してしまった。

俊也にとってはチャンスだった。攻撃陣と守備ラインの間をつなぐためのポジショニングはできていた。広島の攻撃が単純に外、外、と来ていたこともあって中盤の底には比較的余裕もあった。そのため1つの攻撃を防ぎきった後には必ずといっていいほど、俊也のところにボールが集まっていたのだ。これまで散々言ってきたように、ここで俊也がうまくボールを散らして攻撃の起点となることができれば、わざわざペトロが下がってきて起点の役割をする必要はなく、ゴール前の演出に専念することができたのだ。すると攻撃に厚みができ、中盤の役割分担が明確となってますます守りやすくなる。そのはずだったのに、ボールが来ると焦りまくってミスを連発する俊也。見ていて正直つらくなってしまった。優勝を目指すチームが初めて負けた直後のゲームにおいて、落ち着きをもって大きくフィールドを見渡すことは、今年が初めてのシーズンになる彼にとって非常に難しいことだったのだ。

このような状況では、やはり「ベテラン」である。俊也に代って入った広瀬は、浮わついたチームに安定感を取り戻させ、ファイトする気持ちをみんなに植え直したのだった。はじめは彼自身も単純なミスを犯してはいたが、次第にスリッピーなピッチになじんでくると、早め早めを意識しすぎたパス回しで失敗していたところに絶妙のためをつくり、それによってようやく選手が動きながらパスを受けることができるようになった。暢久など前半は低めの位置でおこぼれのようなパスを棒立ちでもらうことが多くて、突破を図りたくてもできない状況だったのが、広瀬が入って以降は矢のようにサイドを走り込んでボールをもらっていた。本当に微妙な「ため」なのだが、これで恐ろしいほどリズミカルなサッカーになっていった。そして岡野の真骨頂センタリングが飛び出して、1点取り返すことができた。

その後も決定的と言える場面を何度か向かえたが決められず、広島に「これぞプロ」というような時間の使い方をされて、タイムアップ。わかっていたことではあるけれども、我々にはまだまだ自力で優勝できるような真の強さは備わっていなかったのだ。今まではただ単に運良く点が決まっていただけなのだ。厳しい現実をスタジアムというメディアを媒介することによって必要以上にみせつけられたのだった。わざわざ京浜東北線の駅40個を乗り越えて浦和まで足を運んだ自分には余りにもつらい90分だった。だいたい前半30分もしないうちから「ララ浦和」をやり続けたら、選手を逆に萎縮させてしまうじゃないか。サポートに対する苛立ちも明確にあった。しゃがみこんでいると、スラックスにこびりついている泥はねの跡が泣けてくるので、試合後、まだまだいけるという悲壮感たっぷりの声援に参加することなく早々と帰ったのだった。

次節、福岡戦。森さんには悪いけど、何としてでも勝つしかない。悪魔が乗り移ったような、あの勢いと、興奮を取り戻すのだ。おれ達は「勢い」がメインのイケイケチームなのだ。それで何が悪い。それがおもしろくて弱い時分からレッズを見守ってきたんだ。開き直るしかない。なにも私はあきらめたわけではないのだ。傷心してはいる。だけれども自分の内面の中、どこかでいまでも本気で「優勝だ」と叫んでいる。そろそろ戦術分析などどこかにやって、自分の本質をさらけ出すときかもしれない。

初めての市原遠征。シャトルバスが無料なのには驚いたが、電車代が高すぎる。競技場はピッチの回りに柵があって、選手と同じ目線で試合を見ることができる。どことなくサテライトのテイストが漂い、カメラ不携帯を少し後悔。到着時にはすでにゴール裏がいっぱいだったので、この試合は真横からサッカーを味わった。とくに前半はちょうどバックラインが目の前の位置にあるので、自分の中で今注目の石井俊也の位置どりをラインとの関係で分析することにした。

ゲーム開始から、連勝中首位のチームと連敗勝ちなしチームの差がはっきりと出た。前節先制されながら逆転勝ちした浦和にはプレーに躍動感がある一方で、市原にはボールを持ってもまったく怖さが感じられない。7分には伸二が中盤相手陣中央でボールをキープして「ため」をつくると前方の福田へスルー、DF2枚を引きつけながら完全にフリーの福永へ。迷うことなく左足を振り抜くと見事ファーサイドのネットに突き刺さる先制ゴール。これだけうまく中央から切り崩しての得点は久しぶりに見た気がする。このゴールで中央の印象をつけたことによって、暢久がサイドへ切り込みやすくなったと密かにほくそ笑む。

だが先制した後のサッカーにはかなり疑問を感じた。ディフェンスラインはなぜか引き気味で、トップとの間にはかなりの空白スペースが生まれた。問題の俊也はマスロバルをかなり意識しての位置どりであり、そのマスロバルがかなり高めに位置したので、俊也はラインに吸収されてしまうことが多かった。相手の消極的な攻めに助けられて守備的にはさほど問題がなかったが、攻撃としてはトップが攻め込んだときもフォローが少なく、転々とするこぼれ球を俊也がミドルシュートという場面も何度か見られた。

俊也が最終ラインと同位置にいるので、攻めの起点となるために伸二やペトロがかなり低い位置まで戻って、そこから攻撃開始となる。そうすると当然それより前にいる選手は少なくなるわけで、可能性が減るし、過度な運動量の負担を伸二、ペトロに要求することになる。川崎戦の解説で奥寺氏が話していたように、伸二が90分のゲーム中に「消えている」ことがあるのはここに原因がありそうである。また前の選手が少なくなる分、サイドバックの上がりに期待しなければならないが、この試合では暢久、城定ともに守備重視で前へ勝負する気持ちは見られなかった(これは暢久マニアにとっては非常に寂しいことである)。鹿島、清水、名古屋などとの対戦でこのような中盤のスペースを作ってしまうと、簡単につけ込まれてしまう。調子のいいうちに何とかしておきたい問題であろう。修正の対策としては俊也にはマンマークを命じることは避け、ラインとの連携によって相手の攻撃的MFを潰すこと、そして今より一つ前のポジションでボール回しに参加することである。特にサイドへ散らしたところに俊也が参加することによって数的優位を作ることができれば、サイドバックの上がりが容易になる。この試合久々に出場を果たした土橋をこのポジションで使ったらどうなるかを見てみたい気持ちも若干ある。

ゲームの方は後半早々46分の速攻で、ペトロが鋭くサイドをえぐってあげたクロスを伸二が豪快に叩きつけて勝負がつき、その後はまた、大きく開いた中盤のスペースを持て余した市原に助けられながら、ほとんど見所なく終了。例によって岡野が残り20分あたりで投入されるも、中盤省略のサッカーでひとり空回りするだけ。今後も運良く1点取ったら引いてしまうサッカーが続くのであれば、岡野はますます苦悩することになるだろう。俊也にはかなりきつい注文をつけることになるが、これができれば決定機における運、不運に左右されることなく安定した強さをレッズにもたらすことになる。1シーズン通しての出場は初めてであり、当然疲れも出てくるであろう。浦和のリーグ初制覇を小さな体に賭けるのは少し心苦しいが、この注文をクリアできればオリンピック代表、末はフル代表も見えてくるかもしれない。

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